世界遺産フエでB級グルメ探し!中部の街で安くて美味くて日本人の観光客でも気軽に食べられるローカル食堂【ベトナム旅行】
深い歴史に包まれた世界遺産の街フエで、独特の現地グルメを食べませんか?
フエはベトナム中部の観光都市として日本や欧米からも人気が絶えないが、観光の目玉である王宮以外にも楽しみ方は無限にある。
北部のハノイとも南部のホーチミンとも異なるフエ料理を現地で楽しもう。
ベトナム全国にフエの専門店はあるが、やはりご当地でなければひと味もふた味も違う。
今回の記事では、凝った宮廷料理ではなく、毎日でも気軽に食べられるフエのB級グルメの魅力に迫る!
フエに来たら美味しいものがいっぱいあるよ!!
庶民の間で発展したフエ料理
■ もくじ ■
フエの名物料理といえばブンボーフエやネムルイ、シジミご飯のコムヘンなどが有名だが、他にもいろいろある。
フエにはグエン王朝が越南を治めていた時代に都があったため、「フエ料理」と聞くと豪華絢爛な宮廷料理をイメージするが、本来のフエ料理は庶民の味だ。
皇帝の宮廷に召し抱えられた料理人たちの技術がフエの下町に伝わり、一般世帯の台所に浸透した家庭料理。
これこそが本物のフエ料理といえる。
特にフエはベトナムの中部に位置し、北部と南部の技術と文化が混ざり合って融合した街だし、山が近く海にも面しているから食材も豊富だ。
そういった背景から、フエには他に存在しないであろうオリジナルな調理法が確立されていくことになる。
フエへは長距離バスか鉄道で行こう
フエには飛行機でも鉄道でもバスでも行けるが、断トツのおすすめは夜行バスだ。
バックパッカーたちと意味不明(?)な英語を使って騒ぎながらの旅は格別。
フエまでの行き方は、フエの空港・鉄道・バス情報!これでベトナム中部最大の世界遺産への生き方は完璧!日本からはどう行く?!【ベトナム旅行】の記事を参考にされたい。
特におすすめと書いたバス旅だが、もしあなたがベトナム初心者なら、クイーンカフェかシンツーリストのバスがいい。
チケットは観光客向けの価格設定でやや高めだが、それでも日本人から見れば格安で乗れるし、高級感と清潔感がある。
逆にベトナム旅の上級者が使う公共のバスターミナルの長距離バスは、値段は安いがワイルドでクレイジーな旅となる。その分、冒険者にはちょうど良い刺激となるだろう。
ちなみにベトナムのバス旅は全国を1本では制覇できず、主要都市まで行ってから乗り換えとなる。
ホーチミン→フエ→ダナン→ハノイ
といった感じのオープンチケットだ。
仮に中継地点で乗り換えずに移動すると48時間は必要になる。
さて、話をフエの食堂探しに戻そう。
フエでB級グルメ食堂を探す
高級料理を食べければホテルのディナーを予約してもいいし、Tinh Gia Vien RestaurantやY Thao Garden Restaurantなども人気がある。
ただし、宮廷料理を扱う本格的なレストランは王宮の周りの旧市街に集中しているので、泊まるホテルからは遠くなってしまうことが多い。
下の写真は王宮前のフラッグタワーだが、この先に進むと旧市街地となり、レストランや喫茶店はあっても外国人が宿泊する施設はない。
フエは旧市街と新市街に2分割されているが、外国人向けの宿泊施設のエリアを新市街に限定しているので、ホテルは新市街のどこかということになる。
夜な夜なふらりと出歩いて食べたいのなら、レロイ通り周辺がベストだ。
レロイ通りについて、詳しくはフエから日本に手紙を出そう!郵便局にはベトナム航空の代理店もあって飛行機のチケットも買えます|レロイ通りをご覧ください。
レロイ通りをぶらぶら歩くと、次々に土産物屋やビアガーデンが目に入ってくる。
ベトナムの伝統衣装であるアオザイの専門店などもあるので覗いてみるといいだろう。
アオザイの発祥地フエでアオザイ専門店に入ろう
世界で最もセクシーな民族衣装とも呼ばれるアオザイのルーツであり、かつての都であるフエの職人の技術は高い。
ちなみに、グエン朝の8代目である君主が官服を元に現在のアオザイの原型を確立したといわれている。
アオザイとフエを日本で例えるなら着物と京都ともいえるだろう。
東京や大阪で着物を仕立てるのも悪くはないが、京都で仕立てるのは別格だろう。
同じようにフエには服飾や工芸において、様々な分野での高い技術が継承されているし、物価も大都市より安い。
時間があれば気に入った生地からオーダーしてみてはいかがだろうか。
店によって異なるが、3日前後かかるので何泊かできる方にはお勧めだ。
フエのローカル食堂との出会い
そんな街歩きを楽しんでいるとお腹もすいてくるが、犬も歩けば棒に当たる。
腹ペコの旅人が歩けば食堂に当たるのだ。
フエは狭い町なので、必ず旨そうな食堂が発見できる。
横断歩道の向こうに、雨にもかかわらずバイクが並んでいるローカルB級グルメ食堂を見つけた。
旅人が旨くて安い店を探すコツは、現地人が利用している店を探すこと。
しかも、家族連れや財布の紐の固そうなおばちゃん連中が座っていれば完璧だ。
上の写真の店の場合も条件をクリアしていた。
詳しくは世界遺産フエでブンボーフエの名店を探そう!極上の牛肉スープを使うお粥や鶏肉料理も絶品だったをご覧ください。
今回はフエの中でも最高にローカルなお店に入るよ!
何軒か隣にもっとローカル感がにじみ出る食堂を発見。
今回はこちらを試してみることにした。
フエのローカル食堂
店内に入ると、自宅兼店舗スペースとなっている。
奥にはメニューがプリントされてた横断幕?が掲げられていて、定番のフォーボー(牛肉麺)やフォーガー(鶏肉麺)が載っている。
ショーケースにはコカ・コーラやペプシが並び、昭和を感じるレトロな扇風機や、アナログ放送用のブラウン管テレビも置かれていた。
車庫を改造したのだろうか、打ちっぱなしのコンクリートの壁に床はタイル張りになっている。
無造作に置かれた食器が客に忖度していなくて、むしろ心地良い。
店内を見回すと、まさに学生食堂だ。
ベトナムではお馴染みの、銭湯にあるような低いプラスチック製の椅子が無造作に置かれ、テーブルも負けじと低く、ボロいが最低限の調味料はそろえてある。
そこに、まるで市場のような活気のある声が響き渡り、築地か豊洲市場に来たかのような妙な錯覚に陥る。
こういうボロくて汚くて(言い過ぎか…)も常連客が絶えない店の場合、味だけはポイントが高そうなので、さっそくメニュー表を見てみる。
cơm chiênという単語がいくつか見えるが、これはチャーハンのことで、語尾につく言葉によって意味が変わる。
例えば鶏肉を表すgàが付けば、cơm chiên gà 鶏肉チャーハンとなる。
メニューをざっと見ると、主に麺と米料理を扱う食堂のようだ。
もっとも、こういう安食堂ではアレンジが可能で、メニューにないものでも簡単なものであれば何でも作ってくれる。
が、逆にメニューから注文しても別物が出てくることもある。
鶏ごはんを注文してみる
さっそく鶏飯(Cơm gà)のコムガーをオーダーしてみた。
しかしこれは、ソイガーXôi gàなのかと思うくらい…普通のコムガーとはちょっと違う気がする。
この辺りがフエっぽくていい。
お米の上に蒸した鶏肉と玉ねぎや野菜で和えたものが乗せられていた。
よく見ると粗挽き胡椒が効かせてあるので、けっこうスパイシーだ。
また、濃い味付けの鶏肉だけだとモッタリするが、玉ねぎと新鮮な野菜のシャキシャキ感が加わってバランスが取れている。
ご飯はやや硬めに炊いてあった。
所どころに、昔の炊飯器で炊いたかのような焦げがあり、それがまた香ばしくて懐かしい。
スープもついている。
中国やタイでもそうだが、ご飯ものに添えてあるスープは基本的に薄味。
主役の味がくすまぬようにという心配りなのか、もしくは材料をケチっているのかは定かではないが、かなり薄味で、スープだけ単体で飲んだとしたら味気ないだろう。
でも、東南アジア特有の濃い味付けの飯を食べる合間に薄味のスープを飲むことで、いわば丁度よい箸休めになる。
付け合わせと調味料
ベトナムではどんな安食堂でも、調味料の類がテーブルに配置されている。
漬物や酸味を加えるライム、ヌックマムやコショウなど。
特に魚を原料とした醤油であるヌックマムはベトナム料理では欠かせないアクセントとなるが、最高のヌックマムの産地はフーコック島という南部の離島だ。
ホーチミンからは数日がかりだが、フーコック島まで買い出しに行って工場を見学してきたので、ぜひ下の記事をご覧いただきたい。
もしあなたが辛めの味付けがお好きなら、砕いた唐辛子を味噌などに加えた赤いソースがおすすめだ。
ラー油ぐらいの辛さと考えて少しずつ加えていくといい。
この日は、ホテルへ戻り翌日のプランを練ることにした。
海外のホテルで普通の朝食をとる理由
宮廷料理を楽しみたければ夕食で頼むが、朝食はごく普通の料理を食べる。
海外で凝った料理ばかり食べていると胃がもたれるので、朝はあっさりと済ませるのが基本だ。
ビーフンなどの薄味の麺類やお粥に、フルーツやオムレツを合わせるのがいい。
ちなみに、生の野菜やフルーツは安全だと信用できる店でしか食べない。
料理係が肉料理をした手で、そのまま洗わずに野菜や果物を切ることもあるし、十分に洗っていないと寄生虫が落ちていないこともありうるからだ。
旅先での食中毒は特に怖い。
その点、ホテルなら生の野菜や果物も安心して食べることができるので外出先の安食堂で食べない分を補給して栄養摂取しておくのが賢明というわけだ。
ではB級グルメの話に戻そう。
日中はフエ大学に行ってきて疲労がたまっていたので、新しい店を探す気力がなく、昨日の鶏飯の店をリピートしてみた。
前に座った客は偶然にも昨日僕が食べた鶏飯を食べていた。
何か違うものが食べたくて、近くのテーブルを見回してみると、チャーハンを食べている客がいたので同じものにした。
ベトナム語で焼き飯は
Cơm chiên=コム・チエン
注文するとわずかな時間で運ばれてきた。
けっこう量も多いし、具も入っている。
米は当然のようにパラパラに炒められているのでスプーンにこびりつくことなく味わえる。
醤油ベースの味付けの、いつもで食べていても飽きない素朴なチャーハンだ。
ふと目を上げると中学生くらいの女の子がパジャマ姿でテレビを見ていた。
風呂上りだろうか、ほのかにシャンプーの香りが漂う。
ベトナムやタイの一般的な安食堂は、自宅と店が同じ空間になっているので、家族も当然のようにくつろいでいる。
そしてまた、店が混み始めて人手が必要になれば、幼い子供でも当然のように手伝い始める。
東南アジアの家族がいつまでも仲がいいのは、きっと居住空間を共有して同じ時間を過ごすからからなのだろう…
そんなことを考えていたら、皿の焼き飯をほとんど食べてしまっていた。
それにしても旨いチャーハンだ。
薄味に作ってあることが多いので、チャーハンを食べるときには最後にあえて醤油を加えることがある。
テーブルに置かれた醤油をちょっとだけ振りかけ、辛口チャーハンに変身させて締めとする。
そういえば、チャーハンの頂上には大きな海老が乗せられていた。
まるで、「私はエビチャーハンです」と主張するように…
頼んだのは普通のチャーハンだったのだが、どこかでエビチャーハンになったのか、もしくはノーマルチャーハンにも1匹だけエビを載せるのがこの店のスタイルなのかは知る由もない。
とはいえ、観光客が寄り付かず、英語さえ通じないこういう店ではぼったくりはなく料金も地元価格だ。
奥では金のなさそうな(失敬)若い兄ちゃんたちが、一心不乱に飯を食べていた。
まさにベトナムのフエ版の学生食堂だ。
フエの安食堂の値段の相場
昨日の鶏飯も今日のチャーハンも35000ドンだった。
日本円にすると165円。
だいたいこういう店のB級グルメの値段は30000~35000ドンなので、相場の範囲だろう。
もっと田舎に行けば、さらに安い店もある。
格安で美味しい料理がお腹いっぱい食べられるちゃう~
そろそろ帰ってホテルでビールを飲もう。
ひとり酒を飲みながら仕事を片付けようと席を立つ。
入り口には大量のスープの入ったずん胴鍋や、仕込みを終えた材料が並べられていた。
会計は店の入り口で済ませることもできるし、テーブルに店員を呼んで支払ってもいい。
玄関ではおかみさんが当日の売り上げを数えていた。
こんなふうに店の入り口に必ず一人いて、仕込みをしながら前の道路を歩く通行人に客引きをし、同時に食い逃げ犯を出さないように見張るスタイルの店が多い気がする。
また、店の奥で調理するよりも、玄関で料理して店の前を歩く客に鍋の匂いをかがせる方が集客につながるのだろう。
日本でもうなぎ屋や焼き鳥屋は意図的に店の裏側から換気するのではなく、客が通る方向に煙を出すことでおびき寄せる。国は違えど、店を繁盛させる手法は同じということだろう。
地方都市を歩くたびにいろいろな発見がある。
汚くても、安くて旨い店との出会い。
ひょうきんな店員や、相席する客たちとの出会い。
人生で一度も食べたことのない料理との出会い…
ベトナムに来られたならば、あなたもぜひB級グルメ探しの街歩きをされることをお勧めする。
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