近代ベトナムのシンボルはホーチミン統一会堂|50枚の写真を添えて旧南ベトナム大統領官邸を徹底解説します!【ベトナム旅行】
1975年4月30日
戦車が柵を突き破って、大統領官邸に突入!!
それが熾烈を極めたベトナム戦争が終わった瞬間でした。
その無血開城の舞台となったのが、現在は【統一会堂】として広く知られる当時の南ベトナム大統領官邸です。
今や4万ドンで見学できるホーチミン観光の代表格に。
ベトナムの歴史を肌で感じられる、超おすすめスポットです!!
今回は50枚以上の大量の写真と一緒に、どこよりも詳しくご紹介します!
悲しい歴史の記録が
ベトナムにはたくさん残っているよ。
統一会堂とは
■ もくじ ■
そもそもベトナムは長い間、南北に分かれてソ連とアメリカの代理戦争をしていたので、名称も統一会堂はなく「ノロドン宮殿」「独立宮殿」と呼ばれる建物でした。
ベトナム人の悲願であったベトナムの統一後に「統一会堂」と呼ばれることになります。
統一会堂(とういつかいどう、ベトナム語: Hội trường Thống Nhất / 會場統一、英語:Reunification Palace)は、ベトナムのホーチミン市にある建物。政情が不安定だった時代に建物の呼び名もたびたび変遷し、1873年から1955年の呼称は「ノロドン宮殿」(ベトナム語: Dinh Norodom)、1955年から1975年の間は「独立宮殿」(ベトナム語: Dinh Độc Lập / 營獨立)、そして現在に至る。
ウィキペディア―『統一会堂』より引用
ベトナムの大統領というと、1967年の革命によって暗殺された「南ベトナムの初代ジエム大統領」が有名ですが、実はこの人は使用していません。
南ベトナムが成立した頃は独立宮殿として使用されていましたが、1962年に爆撃で大破した後1967年(ジエム大統領の暗殺事件の年)に立て直されたので、それ以降の大統領が使うことになりました。
統一会堂への行き方
市内を走る電車がないので、主な移動はタクシーかバスになります。
バスで行く
バスで行くのなら30分ごとに走っているDL1ルートのバス停で行くのがスマート。
市内をぐる~と回っている便利なバスです。
料金も超格安で50円もしません。
滞在しているホテルなどの近くから乗れそうなら、使ってみるのもいいかもしれません。
タクシーで行く
運転手さんに、下の地図を見せればOKです。
グラブタクシーを使うのが一番のお勧めなので、その場合は行き先に統一会堂正面をポチっとしてください。
チケットの買い方
外にチケット売り場があって、観光客がぞろぞろと入っていくのですぐに分かります。
一緒に中に入って、人数を英語で伝えるだけで買えます。
統一会堂の入場料は4万ドン
日本円で200円くらいです。
お得ですよね!
統一会堂の中へ入ろう!
チケットを購入したら、中庭を抜けて正面玄関へ向かいます。
少し距離があるのですが芝生も綺麗で、噴水も楽しめます。
玄関前にはなぜか松の木の盆栽が…。
中に入ると左右に通路が分かれています。
1階では、おもに応接間や会議室などが見学できます。
ベトナム戦争が終結した当時のままの姿なので、今から約45年前の姿。
そう考えると建物も調度品もけっこう豪華なものですよね。
自動車もあります。
ベンツやジープの展示
軍用車にもかかわらず、かなりきれいな状態で保存されていました。
きっとこの自動車で当時のサイゴン市内を走り回っていたんでしょう。
大統領の御用達のメルセデス・ベンツの姿も。
古いとはいえ、ベンツのデザインって時代を超えるものがありますよね。
レトロでいい感じでした。
大統領の家族だけでなく、南ベトナムはアメリカ側でしたから、そっちの国賓なんかも乗せたんでしょうか。
清潔なトイレも
自動車を見ていたら、なぜかトイレに行きたくなり探すことに。
館内にはトイレの場所を教えてくれる分かりやすい案内看板があるので、矢印を目指せば行けます。
こちらもきっと当時のままなんでしょう。
タイルはかなり歴史を感じさせてくれるものでした。
それでも綺麗に掃除されていて、使いやすかったです。
再び館内の展示コーナーに戻ります。
美しい壁画
各国の大使を招いたり、国際会議をする場でもあった大統領官邸。
美しい絵があちこちに飾られています。
建物の裏側を見ると、当時はなかったであろうエアコンの室外機があります。
一般の見学者への開放とあわせて、国賓を迎えたり会議にも使用されてるので、さすがにエアコン無しじゃ今はきついですもんね(汗)
テーブルに、ティーセットが置いてある応接室もありました。
きっとコップも高価なんだろうなぁと思いつつパシャリ。
有名な会見の記念撮影の説明などもあります。
映画館や娯楽室も
大統領の家族が楽しむためのプライベート映画館もあります。
現代のような音響システムはありませんが、イスも壁も凝った作りになっています。
ゲームルームというか娯楽室のマージャン卓(?)です。
当時もこういう遊びをしたんですね。
ウイスキーなんか飲んで、政治や作戦の話をしながら…
レコードもあったでしょうが、やはり生演奏。
ピアノが置いてありました。
試奏は出来ませんでしたが、これも調律すれば使えるんじゃないかと思います。
屋上には脱出用ヘリがあります。
今は誰も脱出しないと思いますが、いざという時に備えて常時待機したたのかもしれませんね。
屋上から入場ゲートの方角を見ると、統一会堂の中庭を見が見渡せます。
戦車の突入現場を一望できる
中庭は噴水を中心に芝生になってます。
中庭の向こうの道路側の柵にロシアの戦車「T-54」が突っ込んで、長いベトナム戦争が終わりました。
ニュースでは知っていましたが、実際に現地で上から見ると感慨深いものがあります。
では、そろそろ地下に降りてみましょう。
ぐっと建物の様子が変わります。
地下の要塞へ
大統領官邸の地下は、上空から爆撃されても持ちこたえるように作られています。
地上の華やかな生活空間&会議室と違って、かなり殺風景な地下基地といった印象を受けます。
そもそも、この大統領官邸は「独立宮殿」と呼ばれていた頃にクーデターの爆撃で大破して立て直された建物ですし、その後もベトナムは南北に分かれて政情不安が続いていたので、いつ攻撃されてもいいように作られました。
血なまぐさい時代だったわけですね。
保存されているベトナム戦争中の地図や多数の機材たち
さまざまな機材が、当時のままの状態で保存されています。
まるで、電源を入れれば動き出すかのようです。
別グループが手配したガイドさんが、地図をもとに熱心に戦時中の状況を説明していました。
ちなみに英語で話してくれるガイドさんは、1時間40万ドン(約2000円)でお願いできます。
きっと地下基地にいた将校たちが、こういう地図を見ながら戦況分析をしたり作戦を練ったりしたんでしょうね。
手書きで細かく書き込みがされていたり、人口の分布や街の弱点なども記入されているのでとってもリアル。
作戦好きの方にはたまらない価値があると思います。
これは電話の切り替え装置でしょうか。
机と電話機が置いてある個室もあります。
大統領官邸の地下でこんな個室を使えるという事は、かなりの上級士官が使用したんじゃないでしょうか。
さらに廊下を歩いて行きましょう。
コンクリートなので、コツコツと足音が響きます。
もし夜中に一人で歩いたら、かなり怖いと思います…。
電気系統の制御室
年代物ですが、まだ動きそうでした。
もちろん計器にはアナログの針が使われています。
まるで戦争モノの映画に出てきそうですよね。
ぱっと見は安定器のようにも見えますが、何でしょうか。
詳しい方がいらっしゃったら、コメントで教えてください(汗)
ベトナム戦争中の通信システム
主に連絡の方法として、電話機と無線機が使用されたようです。
無線は電話線が必要ないものの、傍受される危険も大きいので電話の方が安全だったんでしょう。
多くの部屋に電話機が残されていました。
きっと南ベトナムの各地からの連絡がひっきりなしに届いたんだと思います。
無線機も大活躍しました。
ただし、無線は簡単に盗み聞きできますから戦争中は暗号が使われました。
それを解読するチームもいたはず。
もしかすると、この部屋で暗号解読チームが北ベトナム無線を傍受して暗号を解読したりしてたんじゃないでしょうか。
さらに地下深くへ
地下深くへ続く、謎の階段がありました。
この統一会堂には大統領の部屋の奥からホーチミン(サイゴン)空港まで抜けられる地下通路があるそうなので、そこに通じてるのかも。
立ち入り禁止だったので確かめられませんでしたが…。
ちなみに統一会堂からホーチミン空港までの距離は約7Km。
クチトンネルなど、ベトナム戦争で掘られた地下通路はなんと長さ250Kmとのことなので、7Kmくらいどうってことないですよね。
きっと秘密の抜け道は実在するんだと思います。
仮眠室もありました。
いつも寝泊まりしていたというよりは、緊急用の仮眠ベットのような感じ。
また地図がたくさん掲示されています。
作戦指令室のような配置になっていて、将校たちの声が今にも聞こえてきそうです。
この通路を一人で歩くと、まるでタイムスリップしちゃうんじゃないかって思ってしまいます。
トンネルを抜けたら時空を超えてベトナム戦争中だった…みたいな。
では、そろそろ地上に出ましょう。
順路に沿って進んでいくと、地上一階の厨房に出ます。
ここにも調理道具が幾つか残されていました。
今は使用されていません。
ガスコンロも錆びたままになってます。
かつては大統領官邸の料理人たちが自慢の腕を振るって、食事の準備をしていたんでしょう。
キッチンの喧騒が聞こえてきそうです。
射撃場
敵軍のイラストに向けての射撃訓練場です。
標的まで距離はなかったので、小銃ではなくピストル用の射撃場のようです。
見学ルートの最後は裏庭に出ます。
庭もよく手入れされていて、美しい状態が保たれてました。
さすがはホーチミン屈指の観光スポットです。
疲れたらカフェでひと休み
裏庭からすぐのところにカフェがあります。
暑い日などは疲れやすいので、飲み物を飲んだりして休憩するのもいいかもしれません。
裏から小道に沿ってグルっと回ると、入り口の正面玄関に戻れます。
見学の所要時間
見学中の歩く速さや、各場所の時間配分で必要な時間は変わってきますが、およそ1時間半~2時間はみておいた方がよいでしょう。
いかがでしたか(^O^)
今回は近代ベトナムの歴史の転換点となった旧南ベトナム大統領官邸【統一会堂】のご紹介でした。
実際に戦争中に使われた機器や、現場を見て歴史の重みを感じてみるのもいいのではないでしょうか。
ホーチミンにお越しの際にはぜひどうぞ!
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
またお会いしましょう!!
ポリフェノール
あなたのために厳選した3つの記事