ホーチミンの螺鈿(らでん)細工の工場に潜入!職人さんに貝殻の高級伝統工芸品の作り方を教えてもらいました【ベトナム旅行】
贈り物にも自分用にも最適な、高級感たっぷりの工芸品。
「螺鈿細工(らでんざいく)」
聞き慣れない方もいるかもしれませんが、木の板や箱の表面を削って貝など光沢のある素材を埋め込んでから漆を塗った高度な職人技を必要とする逸品です。
螺鈿の『螺(ら)』は貝を表し、『鈿(でん)』はちりばめるという意味です。
よく、ギターのフレットや宝石箱、家具などにキラキラした貝が埋め込んであるアレですね。
日本でも螺鈿細工のアクセサリー・家具・楽器などの人気が高いですが、ベトナムでも必ずといってよいほど土産物コーナーに置いてあります。
クラフトマンシップの込められた螺鈿細工。
どうやってこんな綺麗な物を作るんだろうって、気になったことありませんか?
工場見学に行って、作り方を教えてもらったので写真と一緒にご紹介します!!
キラキラしててカワイイっ!!
お土産に買って帰ろっかな!
【螺鈿細工】といって
一つひとつを丁寧に、
職人が手作りしているんだ!
螺鈿細工とは
■ もくじ ■
日本では奈良時代に中国(当時の唐)から製造法が伝えられ、楽器などに使われ始めたと言われています。
その後、職人たちの知恵や工夫によって様々な工夫が組み込まれて技術も発展していきました。
螺鈿細工の作り方
大まかな製造工程は以下の通りです。
1.貝殻の内側の真珠層を薄い板状に加工する。
2.漆を塗った木の表面を、デザインした形に添って浅く削り取って、その形に合わせてカットした貝殻を埋める。
3.貝の周りの隙間を埋め、漆を厚めに塗って乾かしてから表面を平らになるまで研磨する。
《上の作り方は「嵌入法(かんにゅうほう)」という製造法です。これ以外にも、木材の表面を削るのではなく貝を張り付けてから、周りが同じ高さになるまで漆を厚めに塗り表面を研磨する「付着法」というやり方もあります》
といっても、文字で説明されても何が何だか分からないですよね(汗)
『百聞は一見にしかず』
さっそく見ていきましょう!
螺鈿細工の工場を見学
今回行ったのは、観光会社のバスツアーに組み込まれていることが多い工場です。
この記事の下に地図を載せます。
隣に直売所があって、工場で螺鈿細工の作り方を見学した後にショップで買うことができるようになっています。
(ココだけの話、直売場は価格が高いので購入はお勧めはしません。なぜ高いのかついても最後でお話します。)
工房に入るとまずは、工程説明の大型パネルがあります。
流れを見ていくと
素の木材から漆で着色したり、溝を作る加工をしたり、貝をはめ込んだり…。
螺鈿細工の全工程が、一目で分かるようになっています。
漆塗り
ここで重要なのは【漆】と【貝】です。
まずは漆で木の表面を黒くしていきます。
下の写真は、塗り終えてからデッサンしたものになります。
漆を塗ると黒地になるので、黒板のようになった表面に白色で外枠を書いていきます。
地道で、ていねいな作業が続きます。
一枚一枚ていねいにデザインを写しては削ったり、卵の殻を乗せたりしていきます。
ちょっとこじんまりとした工房の中に、10名ほどの職人さんがいました。
みんな各工程のエキスパート。
自分の作業が終われば、次の職人に引き渡します。
ベトナムの人たちって、陽気で仕事中もおしゃべりするのが普通なんですが、ここの職人さん達はずっと真剣に黙々と作業していました。
さすがプロですね!
一つの机で、同じデザイン画を元にした螺鈿細工を複数作っていくので、毎日同じものを作ることで、すぐに慣れていくんでしょうね。
貝殻の切り出し
螺鈿細工の特徴の一つが、貝の美しい光沢です。
真っ黒な輝きを放つ漆の中に、輝く貝殻がちりばめられている…
そりゃぁもう、息をのむような美しさです。
では、この貝殻はどのように加工されるんでしょう。
加工の工程
まずは木の表面のくぼみにはめ込むために、貝も薄く平らに加工します。
そして、デザインを書き込んでから削り出していきます。
まずは上の写真のように大まかに切り取って、その後精密に加工していきます。
貝は薄く平面にされているので、この工程は特に力加減の難しいデリケートな作業。
でも、木に埋め込まれている綺麗な貝はこうやって一個ずつ丁寧に作られていくんですねぇ。
その後も細かい作業が続きます。
貝殻の埋め込み
木の表面をデザインどおりに薄く削り取ったら、そこにピッタリ合うように加工された貝殻を埋め込んでいきます。
少し隙間ができますが、漆や塗料で埋めます。
表面の全体に漆を厚塗りする感じで、ならしてから研磨にうつります。
表面の研磨
製法によっては、木の表面を削らずに薄い貝殻を張り付けた後に周りを漆で塗って高さを揃える場合もあります。
また、表面を削る場合であっても、削った枠とはめ込んだ貝殻との間に隙間ができるので、やはり漆などで埋めます。
つまり、若干表面が荒くなります。
ということは、表面を平らにする工程が必要になるというわけです。
水が必要なので、大きな水槽のような場所で研磨します。
ひたすら平らに滑らかに
あの漆と貝殻の光沢はこうした研磨作業で磨かれていくというわけです。
着色の工程も
貝がはめられる以外の部分に、色が塗られることもあります。
上の写真では鮮やかなアオザイを着たベトナム女性たちが描かれていますが、青色に塗られています。
こうした工程を終えて、とっても綺麗な仕上がりになっていくんですね~
仕上げ
研磨や着色が終わればもう仕上げです。
細かいチェックがされて積み上げられていきます。
製品に傷がつかないように、仕上げの段階では”じゅうたん”の上で作業します。
指紋を拭き取ったり、最後の艶出しをしたり。
ご覧ください、この美しさを!!
漆黒の漆の中に、真珠色に輝く貝殻がちりばめられていて、息をのむ美しさ。
螺鈿細工はハノイ空港やペンタイン市場などに売られている定番のベトナム土産。
こういう工芸品はすべて、職人さんたちの真心のこもった丁寧な作業で出来上がっていたんですね。
ベトナムから日本に帰国する時に、よくお土産に買ってはいました。
でも、こうして実際の作り方を工場で見学してみると、これまでよりもいっそう輝いて見えます。
これからは思い出話として、作り方の説明もしちゃおうかなって思っています。
皆さんもぜひ、ベトナムにお越しの際はこの螺鈿細工をお土産にされてはいかがですか~
とってもお勧めです!
あちこちに工場はありますが、この工場の場合は直売所も併設されていました。
お土産に何個か欲しいな!!
見学が終わった後に、店内で買い物できる流れになっています。
お土産用にはどこで買うのがいい?
さて、見学できる工場の横にある直売所って安く買えるイメージがありますが、実は一般の市場よりも価格はかなり高めです。
直売所の価格が高い理由
こういう工場兼ショップは、たいてい外国人観光客向けのツアーに自動的に組み込まれています。
なので、バスに乗って観光目玉スポットを一日かけてあちこち回るついでに寄れて便利なんですが、かなり低価格のツアーだったりします。
つまり、主催する観光会社には参加者からのツアー料金に加えて、立ち寄る何カ所かのショップからのバックマージンが入る仕組みになっているらしいです。
ショップの方も待っているだけで観光バスに乗ったお客さんを連れてきてくれるので楽なんですが、その分の広告費というか経費を出さなきゃなりません。
それが上乗せされてるってわけです。
観光客がちょっと高めでも買っていくお金の一部が観光会社に戻り、格安ツアーが成立するというカラクリ。
どこが一番お得?
ならば一番のお勧めはどこかといえば、
ズバリ、市場です!
それも観光客用の市場じゃなくて、現地の人も買いに来るようなローカルマーケットなら、まず間違いありません。
ハノイならドンスアン市場が行きやすいかと思いますし、
ホーチミンはベンタイン市場が有名です。
(ただし、ベンタイン市場の観光客用のエリアは一般エリアの2倍以上の価格でぼったくりますので要注意です)
今回ご紹介したのは、螺鈿細工の「Lacquer Art」の地図はコチラです⇩
さて、いかがでしたか? (^O^)
ベトナムのお土産にも最適な、美しい螺鈿細工の魅力を感じて頂けたならうれしいです。
ではまたお会いしましょう!!
最後までお読みいただきありがとうございました!
ポリフェノール
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