東南アジアでどうしてもコメの屋台メシを食べてもらいたい理由!昔ながらの炊き方の秘密に胃袋がうなる!【海外B級グルメの旅】
東南アジアの屋台メシが超絶ウマい秘密は、まず基本となる米の炊き方にある。今の日本では考えられないような見事な炊き方をしているのだ。格安で食べられるのに確実に美味しい東南アジアの屋台で味わえるB級グルメの真の秘密に迫る。
縄文時代から米を食べてきた日本人にとっては、心に響く米の飯。
すべての日本人のDNAの中には、旨いメシへの憧れが刻み込まれているに違いない。
まずは米の炊き方の歴史を少しだけ思い出してみよう。
米と落語の「芝浜」
■ もくじ ■
かつては日本では窯と薪を使って米を炊いていた。
落語の「芝浜」で飲んでばかりいて仕事をしない亭主におかみさんが『これじゃ窯の蓋が開きゃしない』と愚痴をこぼして、なんとか魚の行商の仕事に行かせるというくだりがあるが、昔は一般家庭でもご飯を窯と薪で炊いていた。
ドラマの「おしん」などの時代を覚えている方は、釜の前にしゃがんで汗を流しながら、筒で火に息を吹き入れて薪を燃やして米炊きをしている光景がお分かりになるだろう。
これが日本のジャポニカ米の米の最も美味い炊き方であるに違いない。
燃料として【木の薪】を使うので、香ばしいし火力も強いからふっくらと炊ける。
バーベキューや七輪で炭を使って焼くと香ばしい香りがついて、普通の肉でも格段に旨くなるのと同じ原理だ。
しかも強力な火力で炊き上げることができる。
昔の人は毎朝、質素でもおいしいご飯を食べていたのだ。
(庶民のご飯は麦や雑穀米で、今のような白米ではなかったようです)
かまどからガス、ガスから電気炊飯器へ
日本人を含め人類は長い歴史の中でずっと釜を使ってきたが、やがて便利なガスを使うようになる。
1900年代にガスコンロで使える炊飯器が登場し、徐々にガスで米を炊くようになり、その後の電気炊飯器の登場で現在は一般家庭の大部分は電気炊飯器で米を炊くようになっている。
ちなみに、電気炊飯器の開発にあたって大ヒット商品を出した東芝ではこんな面白い逸話がある。
1955年に自動式電気釜という名で東芝から製品化されたときには、「二重釜間接炊き」という方式が導入された。ー途中省略ー全自動化されて便利だったため、電気釜は大ヒット商品となった(東芝内では製品化する際、「寝ている間に米を炊こうなどという女と結婚したいのか」と製品化に反対、または製品化しても売れないという声もあった)。
Wikipedia〈炊飯器〉より引用
家族が食べるご飯を、時間と体力をかけて炊くことが「おかみさん」の大事な仕事として、いかに定着していたかが分かる。
現代の東南アジアの一般的な食堂のコメの炊き方
昔は東南アジアでも窯で米を炊いていたはずだ。
ただ、火おこしや炭の管理などかなり手間がかかるし煙もでる。
それで今では東南アジアといえど、普通の家庭の台所や食堂の厨房をのぞくと電気炊飯器で米を炊いている。
やはり便利なものは取り入れたくなるのだろう。
炊く手間がかからないし、片付けも楽だ。
ただ、それでもご飯は美味しい。
米と関わってきた歴史は日本よりもはるかに長いだろうし、
日本の粘りの強い短い米(ジャポニカ米)と違って、ぱさぱさした長い東南アジアの米(インディカ米)は、炒飯やお粥などにするとよく合うのだ。
日本米は炒飯にするとベタベタしやすいが、そのまま食べたり、炊き込みご飯にすると非常に美味しい。
でも、屋外の屋台の米ではちょっとした違いが出てくる。
東南アジアの屋台の米の炊飯方法
屋外のフードコートや屋台では、電気ではなくガスで米を炊いているところもまだ多い。
下の写真を見ると、大きめのガスボンベからガスを引いて、大きなコンロにぶ厚い釜をのせて炊飯していることが分かる。
ここで「ご飯」の美味さに格段の差が生まれる。
薪とまではいかないが、かなり強力な火力で炊ける。
しかも、ワラで編んだカゴを使って蒸しているのだ。
この藁カゴとは…
湯とり法の炊き方
屋台で食べながら大将の動きをよく見ていたら、時々蒸している米をひっくり返していた。
この、短時間炊いた米をざるで蒸すのは「湯とり法」と言われているが、全体の炊飯時間が短くて済むし、水の計算が楽なのが特徴だ。
『赤子が泣いてもフタ取るな』ではなかった
普通なら、炊飯の最後の段階の「蒸らし」で米をひっくり返したりフタをあけるなんて、炊飯器の温度が下がってしまうので日本人は絶対にしない。
蒸らす段階で『赤子が泣いてもふた取るな』は、日本では美味しい米を炊くために先人が残してくれた知恵なのだ。
でも、釜やガスの強力な火力があれば、ひっくり返しながらまんべんなく「蒸らす」ことができる。
この屋台村で食べたご飯も絶品だった。
米の一粒ひと粒が宝石のようにピカピカと輝いていた。
思わず持ち帰り用に、炒飯を追加で頼んでしまった。
価格は日本円で100円ちょっとだ。
炒飯の具材はたいてい、エビと豚肉から選ぶことができる。
この日は満腹になるまで食べたので、ホテルに持ち帰ってしばらくしてから食べたが、冷めても変わらず美味しく食べることができた。
丁寧に炊かれていたので、基本がしっかりしていたし、その米をさらに大型のガスコンロと中華鍋で味付けしながら炒めた炒飯は、もう形容詞の選択ができないほど『うまい』。
これが100円ちょいで食べられるのだから、東南アジアへの食い倒れ旅行はやめられない。
ちなみに、炊く米の選別の目も確かだ。
日本と同じくスーパーの店頭や米の専門店で販売されている米には何種類ものランクがあって、予算を考えながら最もおいしい米を選んで買っていく現地人の姿をよく見かける。
こうして丁寧に炊かれた米に、ナンプラーやニョクマムなどのエスニック調味料を使ってっ調理するのだから考えただけでもワクワクする。
マレーシアの屋台メシ
話が変わるがイスラム圏のマレーシアの屋台メシでは豚肉は出ない。
もちろん食堂のメニューにもない。
肉があっても羊料理が多いかな。
そして、タイやベトナムよりもさらに細長い米を使っている。
米は細長くなればなるほど粘りがなくなってパサパサする。
これはカレーにするととても美味しいけれど、個人的には米料理においてはタイとベトナムが一番美味しいと思う。
日本ではなかなか食べられない味だろうと思う。
が、東南アジアではガス以外でも、いまだに釜と木の薪で料理をしているところがたくさんある。
少し山間部に行くと、麺料理や米料理を出している店の奥に釜があって、薪をくべているのを見ることもできる。
こうなると、麺料理でもうなるほど美味しい。
海外旅行では屋台で格安で昔ながらの美味しい食事を
今回は東南アジアでの米の炊き方について紹介した。
もちろん、海外旅行では高級なレストランでそれなりのお金を出して美味しい料理を食べるのも良いものだ。
でも、昔ながらの料理法で丁寧に作られた現地の庶民の味を格安で楽しむのも、一生忘れられない思い出になると思う。
もし海外で屋台に出くわしたら、チラっと店の裏を見てほしい。
そこがガスやかまどで米を炊いているようなら、思いきって一度食べてみるのはいかがだろうか。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
またお会いしましょう!!
ポリフェノール
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